筧被告へ記憶確認の質問相次ぐ 京都、青酸連続殺人公判

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2017年07月13日 01:34

 高齢男性4人に青酸化合物を服用させ殺害したなどとされる連続殺人事件で、殺人罪などに問われた筧千佐子被告(70)の裁判員裁判の2回目の被告人質問が12日、京都地裁(中川綾子裁判長)であった。「軽度の認知症」を指摘されている被告が、夫の勇夫さん=当時(75)、向日市=の殺害を認めた10日の公判でのやりとりを「覚えていない」と述べ、裁判官や検察側からは記憶を確認する質問が相次いだ。
 被告は何度も同じ内容を話し、質問と回答がかみ合わない様子などが前回と同様にみられた。弁護側から「書類(捜査段階の供述調書)を見せてもらったか」と問われて「絶対にない」と返答したが、裁判官から署名と指印した実物を示されると、「覚えてます」などと答えた。
 裁判官はさらに被告の記憶や認識を確認するため、「勇夫さんは存命か」「なぜ亡くなったか」などと質問。被告は「私があやめた」「毒を飲ませた」と返答した。勇夫さんの死亡状況は「見ていた。苦しむこともなく眠るように亡くなった」と具体的に説明した。
 当初は黙秘する方針を示していた被告が、一転して殺害を認めた理由については「どこまで黙ってていいか線引きが分からない」「3人の先生(検事のこと)は絶対的な人たちだから、答えなあかんと思った」などと語った。
 弁護側は「被告は直前のことも記憶がない状態」などと4事件全てで無罪を主張しており、「被告は誘導されると『はい』と答える傾向が顕著。誘導せずに質問し、記憶を喚起してほしい」と、検察側をけん制する場面もあった。


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